ジブリの作品には数多の都市伝説が、必ずといって良いほどつきまといます。
それは作品を製作した宮崎監督の言葉から端を発するものや、視聴者の全くの空想などから誕生します。
今回の都市伝説はその中でも個人的には非常に興味深い都市伝説の一つです。
作品を超え、さらには長い時空間を持超えた都市伝説をご堪能ください。
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今回紹介する都市伝説はジブリの2作品が関係しています。
ひとつは「千と千尋の神隠し」。
ひとつは「もののけ姫」。
どちらもジブリ史上で興行収入を獲得した作品として有名であり、日本人ならばその作品名を一度は聞いたことがあるほど浸透している作品です。
「千と千尋の神隠し」では引っ越し途中だった少女の千尋が異世界に迷い込んでしまい、そこでハクという龍に助けられながら成長するお話です。
「もののけ姫」は自然の恩恵を忘れ、人の都合のいいように自然や動物をいじくりまわす時代の中、本来あるべく姿を説こうと奮闘するアシタカと山犬に育てられたサンのお話です。
「もののけ姫」はまだ手付かずの自然がたくさん残されていた時代であり、「千と千尋の神隠し」はまさに現代の家族を象徴したかのような家族が描かれています。
そのため、「もののけ姫」の方が時代の背景は古いと推察できます。
そんな2作品にどのような都市伝説がささやかれているのかと言うと・・・
「千と千尋の神隠し」の主人公千尋は、「もののけ姫」のサンの子孫である
「千と千尋の神隠し」のハク様は「もののけ姫」のアシタカの先祖である
というものです。
少々ややこしいのですが、
「もののけ姫」のサンの子孫が千尋であり、「もののけ姫」のアシタカの先祖が神であるハク様
ということです。
「もののけ姫」に登場する主要人物二人の先祖と子孫が同時に「千と千尋の神隠し」に出演しているのは、一体どういうことか混乱するかと思いますが、ハクは千尋が幼いころに落ちてしまった「川の神」であるため、時代を大きく隔てて存在することが出来るのです。
この都市伝説を「もののけ姫」ではハク様の子孫であるアシタカが、千尋の先祖であるサンをある意味では救い出し、おそらく共に生きて行くことになるのでしょう。
「千と千尋の神隠し」ではアシタカの先祖であるハク様が、サンの子孫である千尋を手助けし、それによってハク様もまた救われるということになります。
いいですか?笑
では、その根拠となると言われる話を紹介していきます。
千尋はもののけ姫サンの子孫説
みなさんは、「もののけ姫」のサンの名前の由来ってご存知でしたか?
今回の都市伝説とは直接的には関係がないのですが、現在知られている「もののけ姫」とは大きく内容が違う「もののけ姫」という作品が関係しているのです。
ひたむきな一生懸命なもののけと、一途な人間のお姫様の愛の物語であり、一般的に知られる「もののけ姫」とは一線を画した内容になっています。
この作品は過去に宮崎監督自身が描いた物語。
しかし、実はこの全く違う内容が書き綴られている「もののけ姫」から、我々がよく知っている「山犬に育てられたサンという美少女」の名前が由来していると言われているのです。
この宮崎監督著の「もののけ姫」では、とある国のお殿様が戦に敗れ、途方に暮れていた際にもののけが住むねぐらに忍び込み、もののけに捕らえられてしまいます。
そこでお殿様はもののけに必死に命乞いをし、自分の娘と引き換えに助かろうとします。
もののけはそれを了承し、殿様は三人の娘である一の姫、二の姫、三の姫がいる中、三の姫をもののけに差しだします。
もうお分かりでしょうが、「三の姫」=「サン」ということなのですね。
これは一つの都市伝説として語られているものですが、ここでもののけに差し出された娘がもののけによって育てられ、その成長した姿がサン・・・と考えると物語の深みが出て非常に面白いですね。
こうした背景があることによって、サンは人を恨む思いがあるのかもしれません。
そして、千尋のフルネームはご存知でしょうか?
物語の途中で「千尋」から「千」に変えられてしまい、あまり苗字まで覚えていないという人が多いかと思いますが、千尋は「荻野千尋」といいます。
ここから「荻野」と「尋」を湯婆婆にとられてしまい「千」という名前に変えられます。
その際、面白い描写があるのですが千尋が「千」以外の名前を湯婆婆に取られてしまうまさにそのシーン。
実は千尋は自分の名前を書き間違えているという話をご存知でしょうか?
これもまた、「千と千尋の神隠し」の中で有名な都市伝説の一つとして扱われています。
通常、こうした制作側のミスとも取れるようなものはネット上なんかでネタにされて終わるものですが、ジブリではそうはいきません。
宮崎監督が何らかの意図をもって行っていると解釈されるますし、おそらく実際にそうだと思います。
この書き間違えの都市伝説の中では、契約書に正しい名前を書かなかったからこそ千尋は自分の名前を完全に湯婆婆に取られずに、元の世界に戻ることが出来たという説などもあります。
このようにいくつか憶測が飛んではいるのですが、ここでは「サンと千尋の関係性」を掘り下げますので、その説だけ扱いますが、気になる方は別の記事で千尋が名前を書き間違えた理由をまとめていますので、ご覧いただければと思います。
さて、実際に千尋が書き間違えたというのは、「荻野」の「荻」という字。
確かに小学生にとってはなじみの薄い漢字ですので書き間違えてもしょうがないとも考えられますが、千尋は一体どのように間違えてしまうのでしょうか・・・。
千尋はこの「荻」に含まれる「火」という字を「犬」に書き間違えます。
契約書に書いた名前は「荻」の字の「火」が「犬」となっているのです。
「犬」・・・。数ある漢字の中からなぜ宮崎監督は「犬」の字に間違えさせたのでしょうか。
そう。
サンは「山犬」に育てられ、自分自身を人間ではなく、山犬と自覚しています。
なぜ千尋は「火」を「犬」と書き間違えたのか。他の漢字でも記号でもいいのに、なぜ「犬」なのか。
ここに宮崎監督がメッセージを隠していると推察されるのです。
つまり、サンと千尋の関係性が垣間見えるシーンだとされているのです。
これが「千と千尋の神隠し」の千尋が「もののけ姫」のサンの子孫であるという都市伝説の所以です。
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ハクはアシタカの先祖である説
さて、続いてアシタカとハク様の関係性を見ていきましょう。
最初の数分しか描写がないので、意外と知られていませんがアシタカがもともと暮らしていた村についての設定をご存知でしょうか?
アシタカが暮らしていた村は「エシミの村」という地で、大和政権が権力を振るった時代に、その支配下に入った稲作農耕民から追放されるような形で本州の北部の山間部に隠れた残党が、寄り合って生活している場所です。
焼畑・狩猟・採集・工芸などを生業とする人々の集まり。
その村の中ではアシタカは「アシタカヒコ」と呼称されています。「アシタカヒコ」にも設定があります。
鉄器がない為に朝廷に敗れて東に移住をした昔の民の子孫がアシタカヒコなのです。
歴史や神話に興味があり、詳しく知っている人ならば、この設定で真っ先に思い浮かぶ人物がいます。
それが「ナガスネヒコ」。
すでに名前からして、「ナガスネ」=「スネが長い」=「足が高い」=「アシタカ」みたいに連想ゲームで芋づる式に関連がありそうな人物ですよね。笑
名前だけではなく、「ナガスネヒコ」は大和朝廷と争った東の狩猟民族の長と言われています。日本の神話に登場する人物で、神武東征の場面で主に登場してくる人物です。
こうした面からも考えると「ナガスネヒコ」の子孫が「アシタカヒコ」と言える可能性が高いです。
続いてハク様を見ていきましょう。
ハク様の名前・・・本名は結構覚えてらっしゃる人も多いと思いますが、「ニギハヤミ・コハクヌシ」。
昔千尋が靴をとろうとして入った川の主であり、その時に川に流されそうになった千尋を助けてくれた神様です。その川が町作りの際に埋め立てられ、行き場を失ってしまい湯屋に迷いこんだというニュアンスを漂わせていましたね。
「ニギハヤミ」から連想される神話上の登場人物は「天照国照彦天火明櫛玉饒速日命(あまてらす・くにてるひこ・あまのほあかり・くしたま・にぎはやひのみこと)」です。
「ニギハヤヒ」=「ニギハヤミ」です。
ここで面白いリンクが起こるのです。
実はニギハヤヒはナガスネヒコの祖先なのです。
ニギハヤヒは日本の初代天皇になるべく十種の神宝を与えられ、本州に入ってきましたが、そこへ、「神武東征」で大和へ現れたカムヤマトイハレビコ(後の神武天皇)が、自分が「天神の御子」であると主張し戦いになります。
要は同じ地位を求めた二人が同じ場所でかち合っちゃったのですね。
ナガスネヒコはニギハヤヒの軍政の中で、弓の名手として大きく活躍をしました。「もののけ姫」のアシタカも弓を用いていたのが印象的でしたね。
しかし、その戦いの渦中に神武がもつ御子としてのシルシを見たニギハヤヒは、自分よりも神武の方が御子としての器がふさわしく、血が濃いということを悟り、自らその地位を譲り渡そうと決意します。
ですが、家来であるナガスネヒコは自分の主君の器を信じて止みません。戦いをやめる合図が出ても手を休めず、戦い続けるのです。
やがてナガスネヒコはニギハヤヒ自身の手で命を絶たれ、この戦いは終息を迎えるのです。
何とも切ない話ですが、こうした話ををジブリ作品と照らし合わせると、ハク様のモデルであるニギハヤヒがアシタカのモデルであるナガスネヒコを殺したということになります。
この関係が本当であれば非常に悲しい関係になりますがその縁というものはとても強いものだと伺うことができます。
以上の都市伝説が全て本当ならば
神であるハク様に使えていたアシタカがサンと世界を正そうと奮闘し
サンの子孫である千尋がハク様の本来の名前と居場所を思い出させた・・・
というなんとも数奇な物語になりますね。
ジブリ作品を超えたというか、長い時空間を超えた非常に壮大な話へと変貌します。
奥が深すぎるジブリの世界・・・。笑
あくまでも都市伝説ですが、宮崎監督はこのような神話や歴史などに非常に詳しく、いろんな場所でモチーフにしたものを扱っていますので、信憑性も低くはないと思います。
なぜ千尋は「火」を「犬」と書いたのか。
なぜハク様は「ニギハヤミ」という名を持つのか。
壮大過ぎて嘘のような印象を受けるかもしれませんが、可能性としては十分考えられる話なのです。
別のアシタカの由来の説
アシタカの本名がアシタカヒコということは上記でも触れました。
このネーミングは熊野の皮の神様である阿遅志貴高日子根(アジシキタカヒコネ)の中から、「ジキネ」を外しただけとも言われています。
そのため
アジシキタカヒコネ=賀茂別雷神=熊野の川の神様で龍。
ハク=熊野信仰に合わせれば闇淤加美神=熊野の川の神様で龍。
という共通点が生まれるため、ハク様のモチーフは闇淤加美神であるという説も存在します。こうした説からもハク様とアシタカの関係性は語られています。
まあ、ドラマチックな展開で言えば上記のニギハヤヒ説という方が上なのですが・・・。笑
しかしまあ、本当にいろんな説が出てきてジブリは面白いですよね。
宮崎監督作品が何らかの神話などにちなんだ物語や、ネーミング、背景がセットされているのは間違いない事ではあると思います。
制作の順番的にトトロともののけ姫は15年ほど空いているため、完全に後付なのですが「もののけ姫」のコダマが「となりのトトロ」のトトロへと進化するという見解を宮崎監督は示しています。笑
この話は、当サイトでも都市伝説として紹介していますが、割と公式の見解であるため、厳密に言うと都市伝説ではありません。笑
このようにジブリ作品は制作当初には深い意味合いが込められていなかったとしても、どんどんと大きく膨らんでいくものなのです。それは、宮崎監督が作品に与えている余白の部分や、神話や昔話の知識量の多さからくるものなのでしょう。
ジブリの不思議な魅力ともいえる部分なのかもしれませんね。
以上が「千と千尋の神隠し」と「もののけ姫」の関係性。
数奇な感動のお話でした。
信じるか信じないかはあなた次第。
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